非結核性抗酸菌症 | 複十字病院 公式サイト(東京都 清瀬市)
アリケイス®は、通常点滴で使用するアミカシンをリポソームと呼ばれる油性の小さな粒子の中に入れたお薬です。2021年に発売された新薬で他の治療を半年以上行っても痰から菌が検出される場合に、従来の治療に加えて使用するものです。臨床試験では、ガイドラインに基づく多剤併用療法に加えてアリケイス®を毎日追加した場合、アリケイス®を使用しない場合に比べて、投与6か月目までに約30%の方で喀痰の抗酸菌培養検査で菌が陰性になりました。専用の吸入器を用いて吸入することにより、肺の末梢にある肺胞まで効率的に薬剤が分布するため薬の全身への影響が少なくなり、副作用を軽減しながら治療の効果を期待できます。吸入治療ならではの副作用として発声障害が比較的多く報告されていますが、声帯の一時的な炎症によるもので基本的には心配ありません。吸入手技やメンテナンス方法の習得が必要になるため、慶應義塾大学病院では新規導入の際に2泊3日程度の入院をしていただいています。入院前の準備から退院後のフォローに至るまで、関係する医師(呼吸器内科、感染症科、耳鼻咽喉科)・看護師・薬剤師がチームとなって連携をとり、遠方に在住の方でもスムーズに治療を継続できるような取り組みを行っています。
て記載されている。 一方、国内外のガイドラインにおいて、非結核性抗酸菌症治療での使用が推奨される 3 剤
このQ&Aは2013年10月26日開かれた第1回肺非結核性抗酸菌症公開市民講座に患者さん代表で話されたIさんの依頼で出来ました。Iさんは, 最近肺MAC症のことはインターネットにも比較的沢山見られるようになりましたが、 断片的であったり、 信頼できるものかどうか不明な情報も数多いと不満を感じており、沢山のQuestionを寄せられました。
もちろん判らないことがまだたくさんある病気なので断言出来ないことが色々ありますし、これからも内容を更新していきたいと思っています。
病気総論(全体像をおおまかにつかむ)
2023改訂見解では、国際的な現況を考慮して、空洞のないNB型肺MAC症 (重症は除く)に対しては間欠的治療と連日治療の両者を推奨する。
間欠的治療のメリット:副作用による治療中止・変更が少ない、とくにEB の中止率が少ない。
軽症例では有効性もそれほど連日治療と変わらない。
投与量がA法:連日とB法:間欠法(週3日投与)で違うことに注意が必要である。
A法(連日):CAM800mg or AZM 250mg、EB750mgまで(10-15mg/kg)、RFP600mgまで(10mg/kg)
B法(週3):CAM1000mg or AZM500mg、EB1000mgまで(20-25mg/kg)、RFP600mg
処方箋記載は最大量で以下の通り(体重40kg以上の患者は最大量である)
A法:アジスロマイシン(250)1錠 分1、エサンブトール(250)3錠 分1、リファンピシン(150)4C 分1
B法:アジスロマイシン(250)2錠 分1、エサンブトール(250)4錠 分1、リファンピシン(150)4C 分1
・CAMレジメンかAZMレジメン(2023年改訂見解)か、どちらを使うか
2020年国際ガイドラインではマクロライド感受性肺MAC症にはCAMよりもAZMを含むレジメンが推奨されている。
その理由として、両者の排菌陰性化率に基づく有効性は同等だが、AZMの方が
①忍容性が高い、②薬物相互作用が少ない、③内服錠剤が少なく服用の負担が少ない、④1日1回投与である、⑤コストが低い、などがあげられている。
審査事例の留意事項には、AZM単剤で治療しない、第一選択薬とする場合には原則としてCAMを検討した後に投与する、とされている。
これらの諸点を考慮し、利点が大きい場合にAZM使用を検討する。
日本ではAZMの長期使用に関する報告は限られている。
症),肺非結核性抗酸菌症(肺 nontuberculous mycobacteria
生物の分類区分で、種の下位区分。非結核性抗酸菌症の主要な病原菌であるMycobacterium aviumの亜種であるhominissuis、silvaticum、paratuberculosisなど、近年次々と亜種が発見されています。
2016年~2017年:クラリスロマイシン耐性菌が発覚、多剤併用療法を開始
専門病院であるD病院に転院後、喀痰検査を実施した結果、クラリスロマイシン耐性アビウム菌と判明し、クラリスロマイシンを中止することになりました。減感作療法を実施するために入院し、抗アレルギー薬を服用しながらでしたがリファンピシン、エタンブトールを基礎とした多剤併用療法を開始することができました。それから2年間、同様の服薬内容で体調良好な日々を過ごすこととなりました。
播種性非結核性抗酸菌 (NTM) 感染症 | 日和見疾患の診断・治療
マイコバクテリウム属細菌はグラム陽性細菌に分類される真正細菌の一属で、結核菌など約200種が登録されています。このマイコバクテリウム属の細菌は抗酸菌と総称され、そのうち結核菌群および、らい菌を除いた細菌を非結核性抗酸菌(NTM)といいます。これらにより引き起こされる感染症はNTM症と呼ばれ、免疫不全患者だけでなく健常者へも感染し、感染後は自覚的な症状がほとんど無いまま長い時間をかけて病状が進行します。発症後は咳・痰・血痰・発熱・食欲不振・体重減少・全身倦怠感などが見られ、抗生物質も効きづらいため、長期の適切な薬剤治療が必要となる難治性の病気です。
データベースに登録された配列と同定したい検体の配列を照合することによりマッチする菌種を探す手法はsequence typingと呼ばれ、それを複数遺伝子に拡張したものが Multi-Locus Sequence Typing と呼ばれます。菌種固有の遺伝子のDNA配列をデータベースに登録しておくことで極めて高い精度で同定が行え、データベースの規模が大きいほど検出能力が上昇します。今回、本研究においてはリボソーム分子の構成に関わる遺伝子やNTMの抗生物質耐性に関わると考えられている184遺伝子を選んだ上で、公共データベースおよび我々が新規に解読した計175種のNTMのゲノム情報を用いることで、マイコバクテリウム同定のための独自のデータベースを作成しました。
価)を 2 回に分けて経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。 2. 非結核性抗酸菌症
2015年:喀血・転院
そうしてC病院でクラリスロマイシン単剤での療養を続けながら過ごしていた2015年8月、初めて喀血をしました。主治医からは「肺MAC症の悪化は見られないので重いものを持った瞬間に気管支に負荷がかかったことにより血管が切れたのだろう」と言われ2週間の安静を指示されました。その年の10月、肺NTM症専門病院の市民講座に参加し、講師の医師に相談したところ「現状の投薬では耐性化の危険がある。今の状態なら投薬する価値があるし、減感作療法で副作用の影響を考慮しながら投薬できる可能性がある」と言われ転院を決意しました。 主治医にその意思を伝えたところ「紹介状を書くのは構わないが専門の先生には怒られると思う。なぜならクラリスロマイシンの単剤投与はやってはいけないといわれているから」と言われて絶句しました。やってはいけないと知っていて単剤投与を長期間していたことを知り、言葉がでませんでした。勝手に大学病院を辞めたことは誤りだったことにこの時、気が付きました。
・診断確定は治療開始のための必要条件だが十分条件ではない。
·とくに空洞をみとめない結節・気管支拡張型の軽症例では、治療開始時期については注意深い観察を前提として個別に検討する。
・2020国際ガイドラインでは喀痰抗酸菌塗抹陽性あるいは有空洞例では経過観察ではなく治療開始を推奨している。
・本見解でもこれを支持するが、その他に、年齢によらず忍容性、基礎疾患、 画像所見の推移、菌種などを加味して治療の要否を判断する。
・できるだけ過去の画像との比較を行う。
・治療にあたっては、その理由、使用薬剤と投与法、副作用、治療効果の判断法、治療期間、環境からの再感染を含む再発の可能性、外科治療の適応 などについて患者に十分に説明し、患者の理解を確認したうえで開始する。
マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症
現在結核は一部の多剤耐性結核を除いて多くが治癒を期待できるようになったのに比較して、非結核性抗酸菌症は治療がまだ確立しておりません。結核と類似した病気のため、抗結核薬を含めた3~4種類の薬を用いて治療を行います。(手術を行う場合もあります)。
非結核性抗酸菌症治療薬の薬物相互作用と用法用量設定に関する研究
成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解 -2023 年改訂
(日本結核・非結核性抗酸菌症学会非結核性抗酸菌症対策委員会
日本呼吸器学会感染症・結核学術部会・日本呼吸器学会感染症・結核学術部会)
現在、非結核性抗酸菌症に対する治療薬で使用されているのは、以下の通りです。 MAC症に対しては
その後:耐性菌陰性化と2度の菌交代と現在
専門病院での多剤併用療法は3年続き、難しいと思っていたクラリスロマイシン耐性MAC菌の陰性化に成功しました。 ただ、同じ非結核性抗酸菌のアブセッサス菌(マシリエンセ亜種)に感染し新たな治療を行ってそれを陰性化してもまたアビウム菌に感染するなど、最初の診断から17年目に入ってもまだ治療は終わっていません。 現在のアビウム菌はクラリスロマイシンに感受性があることがわかっており、クラリスロマイシン・リファンピシン・エタンブトールの3剤治療を続けています。 どうして自分はこうして菌交代しながら感染を繰り返すのだろう、と悲しくなります。お風呂掃除はその日のうちにサッとやる程度にして念入りにやるのは夫に任せ、庭の園芸仕事もやめ、水回りのリフォームもしたにも関わらず、です。「ああどうしてこうなるんだろう」と繰り返し思います。けれどこうなった以上、新しい菌に対処していくしかないです。
日本結核病学会(現 日本結核・非結核性抗酸菌症学会)からは,「肺非結核性
NTM症は, わが国の高齢化, 結核の低蔓延化に伴い, 今後も増加傾向にあると考えられる。NTM症発生動向の系時的な把握, 簡便で鋭敏な診断法の開発・改良, 最適な治療プロトコールの確立と耐性菌発生の予防に向けて, より一層の対応が必要であろう。
日本結核・非結核性抗酸菌症学会【公式】 · @kekkakuJSTB
・肺MAC症診療Up to Date 非結核性抗酸菌症のすべて 南江堂
[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠
非結核性抗酸菌症の中で肺に菌が感染する肺症の患者さんが多くを占めており、非結核性抗酸菌症患者さんの予後を改善するためには今後肺症患者さんに対する対策がさらに重要になってきます。
用量が追加になりました。それに伴い,下記のとおり,効能・効果,用法 ..
肺アブセッサス症は、肺MAC症と比較して治療が効きにくいといわれています。このため、初めに点滴のお薬を含む複数の薬で治療を行います。まずは入院して点滴の薬を2種類(アミカシン、イミぺネム/シラスタチン)、内服薬を2種類(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、クロファジミン、シタフロキサシン、リネゾリドの中から患者さんに合わせて選択します)を使った治療を1か月程度行います。退院後も外来で週3回の点滴と内服薬2~3種類を続けます。
通常、成人にはクラリスロマイシンとして1日800mg(力価)を2
2011年~2015年:改善しない症状に悩まされる~不信感を抱く
2011年の3月にまた主治医が退職し、後任の医師に変更になりましたが、クラリスロマイシンとL-カルボシステインという投薬内容に変更はありませんでした。その後、自覚症状を伝えても「肺MAC症の悪化ではない。前回とレントゲンに変化はない」と言われるだけでしたので、自分からは特に報告することはしなくなりました。血液検査はするものの、喀痰検査やCT検査も特になく、薬をもらうための通院という感じでした。しかし、単剤投与を再開して4年目の2014年7月、激しい咳こみと痰に悩まされ始めます。受診したところ、細菌感染かもしれないといわれ、スルタミシリントシル酸塩水和物を処方されました。その時は後から、インフルエンザ菌への感染であったことがわかり、投薬の効果で症状が改善しました。しかし最初の健診より10年が経ち、自覚症状は明らかに悪化しているのに診察には進展はなく、主治医への不安が強くなりました。そこで転院を希望したところ、「専門病院に転院したら強い薬を飲んでまた副作用が出ますよ。よく考えたほうがいい」と言われました。そう言われると気持ちが消極的になり、身内の手術などもあり、転院は保留となっていました。
クラリスロマイシンと抗結核薬2種類を毎日内服し、少なくとも1年半(菌が培養されなくなってから1年間)続ける必要があります。 生活上の注意
MAC症の治療は, リファンピシン(RFP), エタンブトール(EB), クラリスロマイシン(CAM) の3薬剤による多剤併用療法が標準治療であり, 必要に応じてさらにストレプトマイシン(SM) またはカナマイシン(KM) の併用を行う()6)。CAMは化学療法の中心となる薬剤であり, CAM耐性MAC症の治療は非常に困難となる。CAM単剤投与は数カ月以内にCAM耐性MAC菌が出現することが報告されていることから, 症状が軽微であっても, CAM単剤投与は避けるべきとされる。 治療期間は, 少なくとも排菌陰性化後1年間は継続するべきとされているが, 治療終了後の再燃・再感染は頻繁に認められており, 最適化学療法期間の設定は今後の重大な課題である。
クラリスロマイシンまたはアジスロマイシン+エタンブトール+リファンピシン ..
通常、成人にはクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びプロトンポンプインヒビターの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。
なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。
肺 MAC(Mycobacterium avium complex)症
年には非結核性抗酸菌症による死亡数は初めて結核による死亡者数を超え、その後その差はさらに広がっており(図2)、高齢化がすすむ日本において今後非結核性抗酸菌症による死亡者数のさらなる増加が予想されます。
標準治療として、クラリスロマイシン、エタンブトール、リファンピシンの 3 剤併
<はじめに>
当院では肺非結核性抗酸菌症で治療が必要な患者さんのうち
床用量における有効性については、NTM の菌種間に差はない」とする ..
結核菌は他人への感染性が強いため、患者さまの喀痰から直接菌が検出されると、結核病棟への入院の対象となりますが、非結核性抗酸菌は菌が検出されても他人に感染することはなく、一般病棟あるいは外来にて治療をおこなうこととなります。